佐藤洋二様

皆様、明けまして おめでとうございます。
双日株式会社の社長をしております佐藤でございます。

ニチメン東京社友会へは、今回で5回目の参加となります。
本日は皆様方の非常にお元気なお姿を拝見する機会を頂きましたが、私はこのような社友会の催しを、非常に嬉しく感じております。

さて、さきほど石原会長からもお話がございましたが、昨今の世相において、ヨーロッパでは英国のEU離脱宣言、そして明日は米国のトランプ新大統領の誕生があり、世の中は非常に騒がしくなってきております。

昨今、グローバル化という言葉がよく使われておりますが、現在はどちらかと言えば、各国が保護主義に走り分散を始めていく、というような逆の力が働いている、ということを新聞報道でよく目にします。事実このような動きについては、今後、ヨーロッパ・米国など夫々で色々な形で現れてくることが想定されます。具体的にどのようなところへ変化を齎すのかということは、これからじっくりと見ていく必要があると思います。
今日の日経新聞にも出ておりましたが、やはりトランプ大統領の一言、一言、口先介入という表現が使われておりましたが、それによって大きく為替が動き、何かが動くというように、これだけの影響力を持つ新大統領が誕生する、ということでございます。従い、我々を取り巻く環境は常に、局地的・短期的には、何らかの大きな変動を至るところで受ける、というのがこの一年続く年になるだろう、という覚悟をせざるを得ない状況と感じています。

一方、私共の経営状況についてですが、この四半期決算は順調に来ております。
今年度の当期純利益の目標は400億円であると期初に発表しました。残念ながら上期決算は154億円ということで、進捗率は余り良くありませんが、当初の想定通りで何ら心配をしておりません。色々な会議で報告を受けている各本部の状況は極めて良好で、第3四半期では充分その遅れを取り戻す状況に来ていると確信しており、通期目標の400億円を下ろすことなく、期末に向けてやっていける状況にあります。

以上は2017年3月期の話ですが、17年度のことも一緒に考えを巡らしております。様々な新しい取組がドンドン出てきており、お陰様でアセットも積み上がってきております。これらのものが花開くのは、17年の後半位からと思いますが、内容的には非常に面白い状況にあります。

本部別に少し申し上げますと、いま一番活躍しているのは、田中本部長の化学本部です。ここは、100億円を狙えるネット利益を打ち出せる状況まで来つつあります。その他にも、いろいろ新しい取組があり、新しい収益として還元する、ということが大体見えてきています。新しい資産で新しい活力を生んでいく、ということが徐々に会社の中で浸透してきていると考えています。

機械本部については、インフラにフォーカスを当てています。インフラ関連と言いますと色々な分野がこの中に入ってきますが、それらを全て取り込もうとしています。例えば、病院関連の取組も始めていますが、世界各地において新しい病院施設の開設や開発が行なわれており、それらを積極的に取り込み、そのような舞台での社会インフラ事業を進めております。 また、我々が得意としてきたプラント関係があります。昨年の新聞紙上にも出ておりましたが、インドの高速貨物鉄道については、トータルで約3,600億円の受注を去年夏の時点で確定させております。これは、三井物産に打ち勝ち、我々が多くの受注を実現しましたが、このような貨物輸送やトランスポーテ-ション関係にも注力しており、この舞台での活躍もこれから期待したいと思います。

次は再生エネルギーですが、この分野でも資産が積み上がってきています。一番積み上がっているのが太陽光ですが、勿論、風力やバイオマスという新しい発電についても、現在トライをしております。加えて、LNGや、環境に優しい発電・ガス発電についても、アジアを中心に積み上げを図っております。このようなものが今後ドンドン積み上がっていきますと、私共の安定収益がより強固なものとなります。これから色々なことが予測され、また懸念されるものもありますが、こういった安定収益を生むアセットが増えてきているということは、取りも直さず、それらの問題に対応する体制が同時に出来てきていると感じる次第です。

他にも色々ありますが、航空機のターミナル事業では、内外の新しい民営化に対する取組を積極的に行なっております。国内で今進めているところは高松ですが、これから出てくるであろう福岡や、他のいろいろな地域での新しい空港ターミナルの事業への取組があり、当然その場合には、周辺のインフラに関する取組も出てきます。国内については勿論充分にやっていきますが、海外では、太平洋のパラオや、インドネシアなどの島々における空港事業についても検討しているところです。これらの地域は、今後の人の移動ということを踏まえた新たな市場として捉え、トライしていくことを決め、新たな組織を立ち上げている次第です。

それから国内では、神戸開港150周年ということではありませんが、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)がある場所に新たにホテルを建設する為の用地買収を決定しており、私共の大阪の新たなスタートの一つの目玉にしたいと考えております。また、これを契機に大阪近県、関西地域での商活動をこれから活発にすることを決めております。

このようにして、国内外でのインフラ関連事業については、チャンスを見て大きく取り組んでいきます。勿論、リスク管理は当たり前で、これを外すということはございませんが、多くのビジネス・チャンスがあり、それらを十分に検討出来るような組織・人員の整備が整ってきた、ということを皆様にご報告したいと思います。

それから、既にご覧になった方々もいらっしゃると思いますが、双日という会社のルーツ(日本綿花、岩井商店、それから鈴木商店の三社)に関する歴史展示物を私共の21階に昨年設置し、様々なレプリカをはじめ記念となるものを置き、その紹介を始めました。これは、私共の起源、そして歴史というものを若い世代にもキッチリと残していきたいということです。過去、色々なことがございましたが、これまでの三社の歴史を正しく若い世代に伝えていきたいと思います。これらを伝えていく中で、よくよく考えて頂ければ、先輩諸氏が遺してくれたものは、我々が苦しんだものに比べると、はるかに偉大で、はるかに大きい、ということが判ってくると思います。そのような三社の歴史から来る各々の世代が、自信を持ってこの会社の将来に向かって邁進し、働いていく、それによって一つの大きな役割を担ってくれるのではないか、という期待を込め、この歴史展示をやることを決めた次第でございます。今後も若い人たちの採用、新卒や中途採用を行っていきますが、それらの人たちにも、私共の会社の歴史を知ってもらい、誇りを持って働いて頂きたい、という思いでございます。

長々とお話を申し上げましたが、私共はしっかりと足を地面につけて業務に邁進し、結果を出していきます。さきほど石原会長が仰いましたように、私共の会社を数字で評価頂けるよう、業績の向上が株価に反映され、配当は新たな社会的還元となるように、と考えております。

皆様方は、今まで大変長い間ご苦労をされ、今日ここにご出席されていると思いますが、今後、益々健康を維持管理され、楽しい人生を送っていただけるよう祈念いたします。皆様方に比べ、私共は若手、若手と言っても古うございますが、今後もこのような交流の場を作っていきたい、諸先輩の経験や知識を私共の若い世代に継承して頂くような場も作っていきたいと思います。

大変長くなりましたが、皆様方の今後のご健康と長寿を祈念いたしまして、私のご挨拶とさせて頂きます。 ご静聴、有難うございました。
(了)