山田美緒
KISEKI corporation ltd CEO
一般社団法人コグウェイ代表理事
池田市観光親善大使
高知県観光特使
関西学院大学社会福祉学部非常勤講師

私は東アフリカのルワンダという国でKISEKI corporation ltdを経営しています。アフリカとのお付き合いの始まりは大阪外国語大学でアフリカ地域文化学科を専攻したこと、大学3年生の時に自転車でケニアから南アフリカまで8か国5000㎞を単独縦断したことです。2016年から家族5人でルワンダに移住しました。当初は高級日本食レストランとして職人歴25年の寿司職人とともに高級住宅街に店をオープンしました。しかし順風満帆とはいかず、ルワンダ人スタッフのマネージメント、盗み、遅刻、無断欠勤、嘘、裏切り…に手を焼いていました。

ある日シングルマザーのスタッフに「あなたみたいな真面目なお母さんと働けたらなぁ」と愚痴をこぼしたところ…翌日50名を超えるお母さんたちが職を求めて店の前に集まっていました(雇うなんて言っていないのに!)話を聞くと全員が無職または日雇いの仕事を日々探し回っているとのこと。経験なし、学歴なし、技術なし、資格なし、英語ができないという全く戦力にならない人たち・・・誰が彼女たちを雇うというのでしょうか。ただ、彼女たちの必死の様子を見て同じ母として放っておくことはできませんでした。
移住当初から店のごみ箱を漁り、学校に行かずにふらふらしている私の息子たちと同じ年ごろの少年たちを何とかしたいと思っていました。そのためには家族のことに責任を持っているお母さんに仕事、収入がないといけない(レストランでの経験から男は頼りにならないとわかっていたので)。でも働くところがないのです。ないのならば私が作ろうと決めました。
そこで2018年”地域のお母さんが笑顔で暮らせる社会を創る“ソーシャルビジネスとして方向転換をしました。何もできないお母さんたちを雇用しプロフェッショナルに育てるために様々な工夫を凝らし、より多くのお母さんに雇用を生み出すために実力が付いたら「卒業」をさせました。多くのお母さんがキセキブランドを背負い、一流ホテルやレストラン、国連や外務省、JICAなどの職員のお手伝いさんとしてキャリアを積んでいます。また、廃墟だったコミュニティーべ―スの幼稚園を修理し運営・管理、学費の設定と奨学金の給付などのマネージメントを行い、地域の貧困家庭の3~6歳の子ども100名が通える幼稚園として復活させました。
お母さんや幼稚園の子どもたちとのてんやわんやの経験は非常に学びが多く、あまりに面白いので私が独り占めするのはもったいない。お金を払ってでもこの経験をしたい人はいるのではないか?と思いつき、「1週間500ドル滞在費・食費込みのボランティア・インターンプログラム」として売り出したところ初年度から100名以上が参加する大ヒット。レストランの売上を凌ぎ大きく成長していきました。
そんな中コロナ発生、全予約がキャンセルとなり売り上げの9割を失いましたが、「お母さんと子どもたちを二度と路上に戻さない」と息子たち3人とルワンダに残りビジネスを続ける決意をし、プログラムを現場からオンラインに移行しました。外出自粛で困っている日本のお母さんをターゲットに1カ月3000円で使い放題のルワンダのお母さんたちによるオンラインベビーシッターサービスを開始したところ、注目を浴びて会員数は100名近くになりました。現在オンライン事業は会員制のサービスとして定着し、ベーシックインカム・広告として、現地での活動を支える柱となっています。
さらに地域の需要に向き合い、子ども食堂・託児所・ICT教室・妊産婦のケアセンターを立ち上げさらに地域への支援の幅を広げることができました。今年はようやく日本からボランティア・インターンが戻ってきていてにぎわいを取り戻しています。様々な分野で私やルワンダ人スタッフの手厚いサポートのもと、自由度の高い活動ができるプログラムは大学の特別講義や授業、留学プログラムとしても採用されています。
“世界”は変えられます、貧困も飢餓もなくせます。どこが自分の“世界”かを決めること、そこでの課題に徹底的に向き合い間違えても失敗しても裏切られても諦めることなく変わるまで取り組めば必ず変わります。これからも手の届く”世界”に違いを作っていきます。応援よろしくお願いします。