Jack Daniel’s とはよく知られた米国のバーボン・ウイスキーだ。
そのラベルにはTennessee WHISKEY (スコッチwhiskyとはスペルが違う)、LYNCHIBURG TENNとある。Tennとは即ちTennessee州でそのMoore郡Lynchburg町が創業本社所在地だ。ところが、そこはdry county、即ち1920年実施の禁酒法が1933年に廃止されて以後も実施されている。

世界的ブランドのウイスキーが禁酒地域で作られてる。そんな不思議な(?)話を聞いたのは某年、同州の名門Vanderbilt大学(ナッシュビル)で頼まれた「日米ビジネス」講演で(冷)汗をかいて、事後の懇親会でだった。
Bourbon杯を重ねながら、そこでもう一つ「え!」と思った話題が「テネシー州はState of Volunteer」。
同州ではヴォランティア活動が盛んなのかと思ったら、さにあらず。Volunteerとは「義勇(兵)」。1812年の対英国戦争で、テネシーからの数千人の志願兵が活躍。特にニューオリンズでの戦いで数少ない勝利をもたらしたことが起源 。また、対メキシコの戦いでも2,800人の州政府の要請に対して30,000の応募があった由。
Volunteerとは、ものの本によると、聖書のラテン語が語源。
ヴェルディのミサ曲Gloriaの通り、♪Et in terra地 pax平和 hominibus人間 bonae良い voluntatis喜び♪。「地と善意の人々には平和」(ルカ伝2-14)。
その動詞volo(ヴォロ)は「欲する」「求める」「願う」の意。
十字軍の際には「神の意思に従う人々」を意味し、徴兵drafts とは対称の関係にある。

さて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックについては、大会ボランティア・都市ボランティアを合わせて10万人もの募集をするよし。フルタイム勤務に近い活動、高スキル・知識が求められ、交通費や宿の手配・費用など個人負担という条件に対して「Black」との批判も出てるようだ。

1948年にイギリスで開催されたロンドン五輪がオリンピックボランティアの始まりであり、2012年の夏季ロンドン大会では応募してきた24万人の中から約7万人が参加している。 2018年の冬季平昌大会では1万8千人のボランティアが参加。日本からは外国語大学の学生など2017年9月の研修に参加した約280人から語学力審査に合格した約100人が参加した。
筆者が直接聞いたところでも、世界の一流人との直接コミュニケートをはじめ、現地の老若男女と交流したことを良い経験が出来たと喜んでいる。大会を問題続きとした報道もあったが、ボランティアスタッフに対しては世界各国から好意的に評価されていることも紹介されている。
米国の州によっては高校生、大学生がボランティアに従事すると就職のためのキャリア形成につながるというシステムがあり、そこでは、一定の活動条件を満たした場合に認定証が発行される、とも聞く。
筆者の楽しい経験は、NYC郊外の自宅近くでの私立大学での学生オーケストラ。「オーボエ奏者募集」との掲示板に惹かれてVolunteer参加。練習前の準備を手伝おうとしたら、学生に「これは授業の一環であり、準備・整理・片づけも単位につながるボランティアだからゲストには不用」と言われ大いに納得したものだ。
そう。ボランティアとは聖書の言葉通り「主体的喜び」であり、すぐれて「自分発」ゆえ、Blackかどうかは本人が判断することなのだ。学んだ言葉(英語)を貴重な機会に活かして、現場でinspireされ自分の未来形成に役立てる。ワクワク感が伝わってくる。