この会報が皆様のお手元に届くころには、多分映画「スターウォーズ」第8作目の日本公開が間近に迫り、テレビでも映画のコマーシャルなどを放映しているかもしれません。
今年は映画スターウォーズ第一作公開から記念すべき40周年の節目にあたります。

1977年、ヒューストン駐在も5年目を迎えたある日、私は家族4人を伴って映画「スターウォーズ」を見にでかけました。
1972年の着任時4歳だった長男は小学校4年生に、2歳半だった次男が小学校2年生になっておりました。そこへ1973年にヒューストンで生まれた娘も4歳になって加わりました。

ショッピングモールの中の映画館の前は長蛇の列で、見終わった観客たちが興奮した面持で出てきました。
私の感覚では、映画は筋の途中からいきなり始まった感じで暗黒の宇宙に繰り広げられる宇宙戦争の画面に見入ったものの、ストーリーの方はあまりよく分かりませんでした。

子供たちも宇宙戦争に興奮したらしく、学校ではスターウォーズの話題で盛り上がっていたようです。今になってDVDで第一作を見直してみますと、やはりストーリーは途中からはじまっており、それまでの経緯はオープニングロールの字幕で説明されています。
6年半に及ぶヒューストン生活の中で、ようやく子供たちも成長し、Rated Gの映画なら家族連れで見にいけるようになったのが、この頃です。

今から思い返しても、この年はアメリカ映画の当たり年で、「スターウォーズ」のほかに「未知との遭遇」「サタデーナイトフィーバー」など家族連れで見に行きました。アカデミー作品賞は地味な「アニー・ホール」が受賞しましたが、スターウォーズは視覚効果賞や録音賞など6部門で受賞したものの、メジャーな賞は受賞しませんでした。

それから三十数年、スターウォーズグッズのコレクターになっていた次男は、勤務先の出版社から2014年12月「スターウォーズ英和辞典 ジェダイ入門編」なる本を上梓いたしました。

この辞書は出版される前から、かなりマスコミの評判になり、新聞、テレビ、ネットなどで多数取り上げられております。
たとえば2014年12月28日のBS日テレ 久米書店では本書を取り上げ、次男が檀蜜さん相手に固くなって本書の説明をしております。また2015年1月20日の BayFM78では司会の有村昆さんは息子との対談を終わって、こんな締め括りをしてくれています。
「ベイラインWOWには、スターウォーズがあまりにも好き過ぎて、世界初となるスターウォーズの英和辞典を作っちゃったと言う学研教育出版の辞典編集室長 芳賀靖彦さんにお越しいただきました。芳賀さんは、ちょうどアメリカにいたころにスターウォーズが公開、そのころから大ファンになったそうで、名場面の例文による「スターウォーズ英和辞典 ジェダイ入門編」その内容をネイティブな英語の発音で説明していただきました。」

この年はマスコミの前宣伝が効いて「Amazonでは英和辞典カテゴリーに登録されているこの本だが、現時点では辞典カテゴリーを飛び越えて、本のカテゴリー1位になるなど大人気。公式ロゴを利用した装丁も凝っており、ファンなら要チェックと言っていいだろう。」
(Yahooニュース、やじうまWatch 2014年10月17日付)と言うように売れ行きも好調でした。

この辞書の特徴は一般の学習用英和辞典と違って、映画スターウォーズから英語を学ぶことを目的としており「劇中のセリフおよび旧三部作に登場する中学レベルの英語など、約1000語が例文つきで収録されている。なかでも見どころなのは、ほぼすべての単語に本編映像のキャプチャー、もしくは描き下ろしのイラストが掲載されていることで、単体で読んでも楽しめる一冊になっている。」(同じYahooニュース)

翌2015年9月3日には第2弾となる「スターウォーズ英和辞典 ジェダイ・ナイト編」を発行。第一作ほどではありませんでしたが、やはりマスコミで取り上げてくれました。日経ビジネスオンライン ( 2015年12月25日付)では ジェダイの名セリフで英和辞典が異例の大ヒット との見出しのもと「第一弾の作りを踏襲しながらも掲載する英単語をレベルアップ。第二弾では、新三部作エピソード(1~3)に出てくる高校・大学レベルの英単語を中心に約1000語を収録している。」としたうえで以下のような息子の談話を乗せています。

「この企画は、新作「スターウォーズ/フォースの覚醒」(第7作目)に合わせて立ち上げたものではありません。個人的な話になりますが、私は子供のころからスターウォーズのファンで、いつかはスターウォーズをテーマにした英和辞典を作りたいとずっと思っていました。そんな思いを温めていたところ、2012年に米ウォルトディズニーがルーカスフィルムを買収したというニュース。学研はディズニーとの長い付き合いがありましたから、ついに夢が実現できるのではないかと考えました。」として際物ではない点を強調しています。

ここでスターウォーズのことを良くご存じない方のために説明しておきますと、第一作から第六作までは製作・監督はジョージ・ルーカスでしたが、そこまででルーカスは体力の限界を感じ、自ら経営するルーカスフィルムをディズニーに売ってしまったのです。
従って昨年公開された第7作以降は、違う監督の作品と言うことになります。

またビデオレンタルでスターウォーズをご覧になるときは、エピソード4,5,6,1,2,3の順でご覧ください。エピソード4~6は1970年代から80年代にかけて制作され、そこまでで話は一応完結しております(いわゆる旧三部作)。エピソード1~3(新三部作)は1999年から2000年代初頭にかけて第一作エピソード4から20年の節目として制作されたもので、4~6に出てくる主人公たちの親の世代の物語です。

エピソード7以降はディズニー製作です。

2016年9月に発行されたスターウォーズ英和辞典第三弾「スターウォーズ英和辞典 ジェダイマスター編」は、スターウォーズの第六作目までに出現する全英単語約3000を網羅し、映画の名場面の写真2000点を収録した文字通りスターウォーズ英和辞典の集大成となりました。次男もこの作品には相当の熱を持って取り組んだようです。
マスター編は朝日新聞が2016年10月17日夕刊一面で「辞書 紙の逆襲 読ませる英語 部数を伸ばす」との見出しの元、かなり大きく採り取り上げています。

前に引用した報道とダブルところが多くありますので、省略しますが、息子の談話として「紙の辞書は低迷しているが、モノとして存在感のある商品を作ればまだまだアピールできると考えた」を引用しております。

みなさん、もし書店などで「スターウォーズ英和辞典」を見かけたらぜひお手に取ってみてください。
今回は身内の話で恐縮しております。

終わり

芳賀・写真